
アルマ望遠鏡がこれまでに撮影した中で最大となる、天の川銀河の中心部を詳細にとらえた画像が公開されました。この画像は、私たちの銀河中心付近にある「中心分子雲帯(CMZ)」と呼ばれるガス雲の複合体を映し出したものです。画像の幅は満月3つ分ほどあり、実際には650光年以上もの広がりをもっています。
この画像では、星の材料となる冷たい分子ガスの複雑なネットワークが色鮮やかに可視化されています。ガスの分布は分子ごとに色がつけられています。一酸化硫黄はシアン、一酸化ケイ素は緑、イソシアン酸は赤、シアノアセチレンは青、そして一硫化炭素はマゼンタで表示され、冒頭の画像はそれらを合成したもので、ガスが複雑にからみあうようすが見てとれます。背景の星々の画像は、ESO(ヨーロッパ南天天文台)のVISTA望遠鏡が赤外線で観測したものです。
大質量星が次々と誕生しては超新星爆発を起こす場所
この領域は、天の川銀河の中心にある超大質量ブラックホール「いて座A*(エースター)」を取り囲む、きわめて過酷な環境です。ここでは大質量星が次々と誕生しては超新星爆発を起こしており、天の川銀河の中でも特にエネルギーが高い場所です。このような極端な環境で星がどのように誕生し、進化するのかを理解することは、現在の天文学者が知りたいことの一つです。
また、この領域は初期宇宙の銀河と多くの共通点を持っていると考えられています。そのため、天の川銀河の中心を詳しく調べることは、宇宙がどのように成長し、進化してきたのかを知るための貴重な手がかりとなります。
大規模な国際プロジェクト「ACES」
今回の画像は、「ACES(アルマCMZ探査サーベイ)」という大規模な国際プロジェクトによって作成されました。アルマ望遠鏡の並外れた解像度により、数十光年にわたる巨大なフィラメント構造から、個々の恒星を包む小さなガス雲に至るまで、分子ガスの真の姿がはじめて詳細にとらえられました。
研究チームのリーダーの一人Ashley Barnes氏は「この領域は私たちの目には見えない極端な場所ですが、今や驚くほど詳細が明らかになりました。多くの意味で、このデータはまだ始まりに過ぎません」と述べています。今後予定されているアルマ望遠鏡の広帯域・高感度アップグレードや、現在建設中の超大型望遠鏡(ELT)との連携により、ブラックホールや星、ガスの相互作用のさらなる解明が期待されています。
オリジナル画像は1万1119×4080ピクセルもある巨大なものです。PCなど大きな画面でご覧の方は、こちらの映像(最大4K)もぜひご覧ください。
(参考)
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Image Credit: ALMA(ESO/NAOJ/NRAO)/S. Longmore et al. Background: ESO/D. Minniti et al.

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