恒星を取り囲む泡「アストロスフィア(恒星圏)」を初めてとらえた | アストロピクス

恒星を取り囲む泡「アストロスフィア(恒星圏)」を初めてとらえた

チャンドラX線望遠鏡が、太陽に似た若い恒星の周囲にある「アストロスフィア(恒星圏)」と呼ばれる泡状の領域を初めてとらえました。画像はチャンドラX線望遠鏡がとらえたX線画像(紫と白)とハッブル宇宙望遠鏡がとらえた近赤外線画像(青と白)を組み合わせたもので、地球から120光年の距離にある恒星「HD 61005」の姿がとらえられています。

私たちの太陽は「太陽風」とよばれる荷電粒子(陽子や電子)の流れをたえず吹き出しています。太陽風は、最果ての惑星である海王星をはるか超えるところまで届いており、その太陽風がつくりだす泡状の領域を「ヘリオスフィア(太陽圏)」といいます。

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アストロスフィアの直径は約200天文単位

今回、太陽に似た星のまわりにある「泡」を画像としてとらえることにはじめて成功しました。冒頭の画像で、チャンドラ望遠鏡のX線データは、星を取り囲む直径200天文単位ほどの恒星圏を示しています。このX線は、恒星から吹き出した恒星風が、星の周囲の星間物質(ガスや塵)と衝突した際に発生したものです。なお「1天文単位」は太陽〜地球間に相当する距離で約1億5000万kmです。

太陽は誕生してから約46億年が経過しています。それに対してHD 61005は、質量や温度は太陽と似ていますが、誕生後まだ1億年ほどしか経っていない若い星です。観測の結果、HD 61005の恒星風は太陽より約3倍も速く、約25倍も高密度であることがわかりました。

一方、ハッブル望遠鏡の近赤外線のデータ(青と白)では、星から翼のように左右に広がる構造が映し出されています。これは恒星が誕生したあとに残された塵状の物質でできています。ハッブル望遠鏡の観測から、HD 61005周辺の星間物質の密度は、太陽周辺より約1000倍も高いことがわかりました。

私たちは太陽圏の中にいるため、外から太陽圏を見ることはできません。今回の観測では、太陽に似た星の周囲にある「泡」を初めて外から見ることができました。太陽の幼少期のような存在であるHD 61005の観測は、かつて太陽がどのような天体だったのか、そして太陽圏が数十億年かけてどのように変化してきたのかについてのヒントも与えてくれます。

(参考)「チャンドラX線望遠鏡」関連記事一覧

Image Credit: X-ray: NASA/CXC/John Hopkins Univ./C.M. Lisse et al.; Infrared: NASA/ESA/STIS; Image Processing: NASA/CXC/SAO/N. Wolk

(参照)NASAChandra X-ray Observatory