「年輪」のようなパターンをもつ火星のクレーター | アストロピクス

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「年輪」のようなパターンをもつ火星のクレーター

この画像は火星のアキダリア平原にあるクレーターをとらえたものです。クレーター内には同心円状の模様が見られ、まるで木の切り株の年輪のようにも見えます。木の年輪からは過去の気候の情報などがわかりますが、このクレーター内の模様も火星の歴史を示しています。画像は火星探査機トレース・ガス・オービターが撮影しました。

このクレーターは北緯51.9度にあります。中緯度にあるにもかかわらず、クレーター内部は水の氷に富んでいるであろう堆積物で満たされています。これら水の氷の堆積物は、火星の自転軸の傾きが異なっていた時代に、現在より低緯度で形成されたものと考えられています。現在の火星の自転軸の傾きは約25度で、地球の自転軸の傾き(約23度)と似ています。しかし火星では地球と異なり、自転軸のふらつき具合が大きく、これまでの歴史のなかで劇的に変化してきました。

クレーターの堆積物には、多角形の割れ目のパターンが見られます。これは季節による気温の変化で氷に富んだ堆積物が膨張と収縮を繰り返し、最終的に割れ目が生じたものと見られています。

TGOは、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)とロシア・ロスコスモスが共同で進めるエクソマーズ計画で打ち上げられた探査機です。2016年3月14に打ち上げられ、同年10月に火星の周回軌道に入りました。画像は2021年6月13日に撮影されたもので、2022年1月28日にESAから公開されました。

Image Credit: ESA/Roscosmos/CaSSIS, CC BY-SA 3.0 IGO

(参照)ESA