NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星探査機マーズ・リコネッサンス・オービターが火星のカシモフ・クレーター内をとらえた画像です。中央下から左上にかけて青く見える筋が映っています。この部分は周囲より高くなっていますが、実はかつての川底の跡です。
かつてこの地域では、画像の左上に向かって川の水が流れていました。川の底は砂利のような大きめの石が多いのに対し、周囲は細かい粘土でできていました。川に水が流れなくなった後、長い時間をかけて風によって周囲の粘土が取り除かれました。川の底にあった砂利は風で吹き飛ばされることなく高台として残ったのです。
なお画像は青緑、赤、赤外で取得した画像を青、緑、赤に割り当てて色合成した擬似カラー画像ですので、肉眼で見た色とは異なります。色の違いによって異なる組成の物質を区別することができます。
マーズ・リコネッサンス・オービターに搭載された高解像度カメラHiRISEのウェブページでは、HiRISEで撮影した画像を毎日1枚ずつ、HiPOD(HiRISE Picture of the Day、HiRISEの今日の1枚)として紹介しています。この画像は2013年2月5日に撮影されたもので、2020年11月1日のHiPODとして紹介された画像です。
Image Credit: NASA/JPL/UArizona
(参照)HiRISE