この画像は、NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星探査機マーズ・リコネッサンス・オービターの高解像度カメラHiRISEで撮影された火星の小さなクレーターです。これらのクレーターは、広範囲を撮影するカメラCTX(Context Camera)で撮影した画像から、AI(人工知能)を利用して発見されました。
こちらはCTXで撮影された画像です。左下の赤丸内の小さな黒いスポットの部分をHiRISEで撮影したのが冒頭の画像です。
クレーターを調べる際には、まずCTXの画像からクレーターを探し出し、発見されたものをHiRISEで撮影します。これまではCTXの画像を人力で調べており、1枚の画像を調べるのに40分ほどの時間が必要でした。
その時間を短縮するべく、NASA・JPL(ジェット推進研究所)の研究者たちは、新鮮なクレーターを自動検出するためのツールを開発しました。数十台の高性能コンピュータで構成されたJPLのスーパーコンピュータクラスタ上で実行すると、それまで人力で40分かかっていた処理を平均5秒で完了できます。
このツールによって、隕石の衝突頻度をより完全に把握できるようになり、これまでクレーターが発見されていなかった領域で小さなクレーターが明らかになると期待されています。発見されるクレーターが増えるほど、火星での隕石衝突のサイズや形、頻度などの知識が増えることにつながります。
将来的には火星探査機に搭載する同様のツールを開発し、科学者がより興味を持ちそうな画像に対しAIが優先順位を付けられるようにすることが目標とのことです。
Image Credit: NASA/JPL-Caltech/MSSS