火星の中緯度地域の多くは、地下に氷があるのではないかとみられています。とはいえ地表は塵に覆われ、地下に何があるのかを知る手がかりはあまりありません。
ただ崖のような地形になっているところでは、地下に埋もれた氷を垣間見られることがあります。この画像に映っているのも、火星で数十個知られているそのような崖の一例です。
画像はNASA（アメリカ航空宇宙局）の火星探査機マーズ・リコネッサンス・オービターがとらえたものです。崖の表面で明るく見えている部分は氷で覆われています。この崖は火星の南半球のクレーターで見られるもので、赤道とは逆向き、つまり南に面しており、ほとんどの時間帯で陰になっているために氷が残っているのです。
崖にかすかに見られる帯状の構造は氷の層を示しているかもしれません。そのような層は、火星の過去の気候を記録している可能性があります。
マーズ・リコネッサンス・オービターに搭載された高解像度カメラHiRISEのウェブページ（アリゾナ大学）では、HiRISEで撮影した画像を毎日1枚ずつ、HiPOD（HiRISE Picture of the Day、HiRISEの今日の1枚）として紹介しています。この画像は2022年7月20日に撮影されたもので、2022年8月25日のHiPODとして紹介されました。
Image Credit: NASA/JPL/UArizona
（参考記事）火星の崖の壁面にうっすらと見える地下の氷、火星探査機がとらえた、水の氷が露出する急な崖
（参照）HiRISE
