火星のクレーターの斜面に見られる溝状地形「ガリー」

NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星探査機マーズ・リコネッサンス・オービター(MRO)がとらえた火星の画像です。MRO搭載のHiRISE(高解像度カメラ)で撮影されました。

画像には、クレーターの斜面にある「ガリー」と呼ばれる溝状の地形が映っています。このようなガリーは、クレーターの斜面でよく見られます。似たような地形は、地球上では液体の水が作用してできます。そのためガリーが観測された当初は、現在の火星でも液体の水が流れているのではないかとして注目を集めました。

しかし長期にわたって観測を行なった結果、ふつうの水が流れてできたとする説には疑問が呈されるようになりました。現在では、ガリーの成因について、いくつかの説が提案されています。その1つが、塩分を多く含む水によってできたのではないかとするものです。ふつうの水に比べて、塩分を含んだ水は低い温度でも凍らないからです。それ以外にも、液体の水の作用そのものを必要としないプロセスも提案されています。

画像は2020年3月4日に取得されました。2020年4月2日の「HiRISE Picture of the Day(HiPOD)」の画像です。

Image Credit: NASA/JPL/University of Arizona

https://www.uahirise.org/ESP_063775_1295