画像はハッブル宇宙望遠鏡のNICMOS(近赤外カメラ/多天体分光器)で、1998年1月に撮影された土星の疑似カラー画像です。NICMOSは1997年2月、スペースシャトルによる2回目の保守ミッション(サービスミッション)で設置された、当時の最新の観測装置の1つでした。
青はアンモニアの氷の結晶からなる土星の雲の層を示しており、雲の上にもやなどがなく澄んでいる領域です。青の濃淡は、雲の粒子のサイズや化学組成の違いを示しています。リングの上側に見える北半球のほとんどの地域は比較的澄んでいます。南極周辺に暗い領域は、雲の層に穴が空いていることを示しています。
緑と黄は、雲の層の上にもやがかかっている領域です。緑はもやが薄く、黄はもやが厚い部分です。南半球のほとんどの領域にもやがかかっていることが分かります。
赤やオレンジは、大気の高いところまで雲が届いている領域です。赤の方が、オレンジよりも雲が高いことを示しています。土星の赤道付近では2つの嵐が白っぽく見えています。
土星の左下には衛星ディオーネが、右上の土星の縁のところには衛星テティスが映っています。2つの衛星の色の違いは、衛星の表面の状態が異なっていることを示しています。
ハッブル宇宙望遠鏡の打ち上げ30周年(2020年4月24日)に向けて、NASA(アメリカ航空宇宙局)は「30 Years, 30 Images」と題して、これまでハッブルが撮影してきた画像から各年1枚ずつ選んで公開しています。
冒頭の画像はその8枚目のもので、1998年4月に、8周年記念としてリリースされたものです。
Image Credit: Erich Karkoschka (University of Arizona) and NASA
https://www.flickr.com/photos/nasahubble/49575756441/in/album-72157713228021437/
https://hubblesite.org/contents/media/images/1998/18/659-Image.html