木星の手前を衛星イオが横切り、木星表面にはイオの影が落ちています。ハッブル宇宙望遠鏡の打ち上げ9周年を記念して、1999年4月にリリースされた画像です。
イオの明るい部分は、二酸化硫黄の霜の領域です。木星では、白と薄い茶色の領域が高高度の靄(もや)と雲、青い領域が高高度で靄がかかっておらず比較的澄んでいるいるところをあらわしています。
画像はWFPC2(広視野惑星カメラ2)で撮影されたもので、3400オングストローム(紫外線)と4100オングストローム(紫)の画像を合成した疑似カラー画像です。
木星の手前側を通過するイオを映した3枚の画像は、1.8時間おきに撮影されたものです。地球の月は約28日ごとに地球を1周しますが、イオは約1.8日で木星を1周しています。2枚目と3枚目の画像には、木星表面に落ちるイオの影が映っています。
右下の枠内はイオのクローズアップで、イオの表面にある活火山の一つ、ピラン火山から噴出する二酸化硫黄の“雪”からなる高さ200kmの噴煙がとらえられています。この画像は3400オングストロームと4100オングストロームに加え2600オングストローム(紫外線)の画像を合成したものです。コントラストを上げ、偽色を加えて噴煙を目立たせています。
ハッブル宇宙望遠鏡の打ち上げ30周年(2020年4月24日)に向けて、NASA(アメリカ航空宇宙局)は「30 Years, 30 Images」と題して、これまでハッブルが撮影してきた画像から各年1枚ずつ選んで公開しています。
冒頭の画像はその9枚目のものです。
Image Credit: John Spencer (Lowell Observatory) and NASA
https://www.flickr.com/photos/nasahubble/49575767691/in/album-72157713228021437/
https://hubblesite.org/contents/news-releases/1999/news-1999-13.html