ほかの巨大惑星と同様、天王星も内部から熱を放出していた

2023年にジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が近赤外線でとらえた天王星。リングもくっきりと映し出されています。
2023年にジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が近赤外線でとらえた天王星。リングもくっきりと映し出されています。

木星や土星、海王星などの巨大惑星は、太陽から受け取る熱よりも多くの熱を内部から放出しています。ただ天王星については、1986年に天王星に接近して観測したボイジャー2号のデータにより、内部からの熱の放出はないと考えられてきました。

巨大惑星のうち天王星だけが異なる理由については、天王星が他の惑星よりも古いために完全に冷えてしまったとする仮説や、天王星は他の天体の巨大衝突によって横倒しに自転するようになったと考えられていますが、その巨大衝突によって天王星の熱が吹き飛ばされたとする仮説などが提唱されていました。

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太陽から受け取る熱より約15%多い熱を放出

イギリス、オックスフォード大学のPatrick Irwin氏らの研究チームは、地上および宇宙望遠鏡による過去数十年にわたる観測から得られた、天王星の大気に関する知見をまとめたコンピュータモデルを開発しました。そのモデルには、太陽光の反射や熱の放出に影響する霞や雲、季節変化に関する情報が含まれています。

モデルによる解析の結果、天王星は太陽から受け取る熱よりも約15%多い熱を放出していることがわかったとのことです。アメリカ、ヒューストン大学のXinyue Wang氏らの研究チームによる別の最近の研究でも、天王星は太陽から受け取る熱よりも12.5%多い熱を放出しているとする結果が出ており、どちらの研究の推定値も同程度になっています。

これらの研究結果は天王星が独自の熱を持っていることを示唆しています。ただ、受け取る2倍以上の熱を放出する海王星など、他の巨大惑星と比べると天王星が放出する熱は少なくなっています。なぜそうなのかはわかっていません。

(参考)
天王星 太陽系第7惑星(天王星の基本情報を紹介)
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡がとらえた天王星(2023年はじめに公開された画像を紹介)
天王星の詳細最新画像 ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が観測(2023年末に公開された画像を紹介)

Image Credit: NASA, ESA, CSA, STScI

(参照)NASAUniversity of Houston