この画像は、NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星探査車パーサヴィアランスが2024年9月30日(1285火星日)に起きた日食をとらえたものです。火星にはフォボスとダイモスという2つの小さな月がありますが、火星に近いところを公転するフォボスによる日食です。
こちらはパーサヴィアランスの画像をもとに作成された動画です。4倍速の映像と、実際の速度での映像が含まれています。
フォボスの軌道は火星の赤道とほぼ完全に一致しており、惑星の表面から比較的近いため、フォボスによる日食は頻繁に発生します。フォボスは火星の周りを約7.6時間で1周しており移動速度が速いため、日食は30秒程度で終了します。
フォボスの大きさは27×22×18kmで、ジャガイモのようないびつな形をしています。いびつな形をしていることは、上の画像や映像からもわかります。(参考)火星の衛星フォボスの詳細画像
フォボスは地球の月(半径1737.5km)と比べると非常に小さな衛星です。ただ地球から月までの距離が38万4400kmなのに対して、フォボスは火星から9376kmしか離れていません。また火星から見ると、地球から見るより太陽の見かけのサイズが小さくなります。そのため、フォボスが小さい割には太陽の広い範囲が隠されます。(参考)地球の月と火星の「月」、惑星表面からの見た目の大きさ比較
火星探査車が日食を撮影するのは、それほど珍しいことではありません。これまでにもパーサヴィアランスやキュリオシティによってしばしば撮影されており、アストロピクスでもこれまで何度か紹介したことがあります。
(参考)「火星の日食」記事一覧
※2024年10月4日に公開した記事では生画像(Raw Image)とそれを元に編集部で作成した映像を紹介していました。画像と映像をNASA(アメリカ航空宇宙局)が公開したものに差し替えて内容を更新し、10月31日に改めて公開しました。
Image Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU/MSSS