この画像は、すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラ「Hyper Suprime-Cam(ハイパー・シュプリーム・カム、HSC)で撮影されたもので、中央に短い触手を伸ばしたクラゲのような銀河JO204が映っています。JO204は、地球から約6億光年の距離にあります。
アストロピクスでは、すばる望遠鏡がとらえた、クラゲのように見える銀河を7月5日にも紹介しました。その銀河は、2つの銀河の重力相互作用によって変形してクラゲのような形に見えているものでした。
今回の銀河は、重力相互作用で変形したわけではありません。銀河団の中には、大量の高温ガスが存在しています。そのガスの中を銀河が運動すると、ガスの圧力によって銀河のガスがはぎ取られます。その結果、クラゲの触手のような構造が形成されたと考えられています。
なお、銀河団内のガスの圧力によって、銀河内のガスがはぎ取られる現象は「動圧(ラム圧)によるガスのはぎ取り」と呼ばれています。
(参考記事)はぎ取られたガスがクラゲの触手のように漂う銀河「JO204」 ハッブル望遠鏡が撮影
すばる望遠鏡は、ハワイ島のマウナケア山頂付近に設置されている、口径8.2mの巨大望遠鏡です。すばる望遠鏡は、1999年1月のファーストライト以来、2024年で25周年を迎えました。25周年を記念して、国立天文台は2024年4月から毎月2枚ずつ、すばる望遠鏡が撮影した天体画像を紹介しています。くらげ銀河をとらえたこの画像は、2024年7月17日に、すばる望遠鏡のウェブページで紹介されたものです。
Image Credit: 国立天文台
(参考記事)すばる望遠鏡25周年記念画像
(参照)すばる望遠鏡