銀河団内を漂流し「触手」を漂わせる「クラゲ銀河」JW39 ハッブル望遠鏡が撮影 | アストロピクス

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銀河団内を漂流し「触手」を漂わせる「クラゲ銀河」JW39 ハッブル望遠鏡が撮影

この画像はハッブル宇宙望遠鏡が撮影したもので、「クラゲ銀河」と呼ばれるタイプの銀河「JW39」が映っています。JW39は、かみのけ座の方向、9億光年以上の距離にあります。

JW39からは、はぎ取られた銀河内のガスが、まるでクラゲの「触手」のように銀河円盤から右側へ伸びて漂っているのが見えています。この「触手」は、「動圧(ラム圧)によるガスのはぎ取り」と呼ばれる現象によって生じたものです。

銀河団内の銀河間空間には、高温のプラズマが存在しています。このプラズマは非常に希薄ですが、その中を移動する銀河はそのプラズマの圧力を受けて、銀河内のガスがはぎ取られて漂うことがあります。これが「動圧(ラム圧)によるガスのはぎ取り」です。

銀河団ではまた、他の銀河の重力の影響を受けて、銀河の形がゆがんでしまうことがあります。JW39では渦状腕の1本が、銀河を回り込むように大きくゆがんでいます。

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6つの「クラゲ銀河」観測の一環

画像はハッブル宇宙望遠鏡のWFC3(広視野カメラ3)で撮影されたもので、2023年5月22日に「今週の1枚(Picture of the Week)」として公開されました。

ESA/Hubbleのウェブサイトでは、2023年2月27日にJO201、3月20日にJW100、4月10日にJO204、5月1日にはJO175という「クラゲ銀河」が、今週の1枚」として紹介されてきました。今回のJW39の画像は、それらの銀河を含め、6つの「クラゲ銀河」の調査の一環で撮影されたものです。この調査は、極端な条件下での星形成について理解を深めることを目的として行われ、クラゲ銀河の「触手」における星形成と、銀河円盤における星形成とで目立った違いがないことが発見されました。

Image Credit: ESA/Hubble & NASA, M. Gullieuszik and the GASP team

(参照)ESA/Hubble