かつて湖に水を供給していた川の跡「ネレトヴァ渓谷」 探査車が撮影

この画像は、NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星探査車パーサヴィアランスが、「ネレトヴァ渓谷(Neretva Vallis)」と呼ばれる場所をとらえたものです。

パーサヴィアランスは、かつて湖だったと考えられているジェゼロ・クレーターに着陸して探査を行っています。ネレトヴァ渓谷は、かつてジェゼロ・クレーターに水を供給していた川(水路)だったとみられています。画像には、そのネレトヴァ渓谷の下流側が映っています。なお画像には見えていませんが、奥の下流の方には流れ込んだ水によって形成されたデルタ(三角州)があります。

画像は2024年5月17日(1152火星日)に撮影されました。パーサヴィアランスは、画像右側の岩の多い地域のすぐ外側を走行して、撮影場所までやってきました。画像は、幅400mほどのネレトヴァ渓谷を横断するために降りてきた入り口付近で撮影されました。

画像左端付近には、200mほど離れたところにある「ウォッシュバーン山」が映っています。この画像を撮影した後、パーサヴィアランスはウォッシュバーン山付近に向かい、そこで周囲とは異なる明るい色合いの岩を撮影しました。

(参考記事)火星のパノラマに映る周囲とは異なる明るい岩 探査車が撮影

こちらは、かつて湖だったころのジェゼロ・クレーターの想像図です。奥の川からクレーターに水が流れ込んでいるのが見えますが、その川が現在のネレトヴァ渓谷です。

なお冒頭の画像は自然色ではなく、色の違いを強調するために画像処理が施されたものです。

こちらの動画では、探査車の撮影地点やウォッシュバーン山との位置関係なども紹介しています。

Image Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU/MSSS

(参照)Planetary Photojournal