探査車キュリオシティ、火星着陸から4000火星日が経過

NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星探査車キュリオシティが、2012年8月5日に火星のゲール・クレーターへ着陸して以来、4000火星日が経過したとNASAが発表しました。

キュリオシティは着陸以来、クレーターの中央にあるアイオリス山(シャープ山)のふもとを登りつつ探査を続けてきました。アイオリス山は高さによってさまざまな時代の地層があります。登りながら観測することで、火星の気候がどのように変化してきたのかを探ることができます。

Image Credit: NASA/JPL-Caltech
Image Credit: NASA/JPL-Caltech

こちらの画像は、「セコイア」と名付けられた場所の360度パノラマです。2023年10月21日(3984火星日)と10月26日(3989火星日)に撮影された画像をもとに作られました。

Image Credit: NASA/JPL-Caltech/MSSS
Image Credit: NASA/JPL-Caltech/MSSS

キュリオシティはセコイアでサンプルを収集しました。この画像はサンプル収集時にドリルであけた穴です。セコイアのサンプルを分析することで、硫酸塩が豊富になるとともに火星の気候や居住可能性がどのように進化したのかが明らかになるのではないかと期待されています。硫酸塩は、火星が最初に乾燥し始めたころに、蒸発しつつあった塩水の中で形成されたとみられる鉱物です。

スポンサーリンク

マストカメラの左カメラのフィルターホイールに不具合が発生

キュリオシティは火星着陸以来、地球時間で11年以上が経過しています。その間、塵や放射線による厳しい環境の中、約32kmにわたり走破してきました。

現在、探査車のメインカメラの1つであるマストカメラ(Mastcam)に問題が発生しています。マストカメラは左右一対のカメラで構成されています。それぞれ焦点距離が異なり、「左目」のカメラは焦点距離34mm、「右目」のカメラは100mmで撮影できます。

(参考記事)火星探査車キュリオシティ、マストカメラの「右目(100mm)」と「左目(34mm)」の画像比較

マストカメラは、回転するホイールでフィルターを切り替えながら撮影します。しかし9月19日以来、左カメラのフィルターホイールが、フィルター間で止まってしまい動かなくなってしまいました。

焦点距離100mmの右カメラは、左カメラと比べて解像度は高いものの撮影範囲が狭くなります。左カメラと同じ範囲を撮影しようと思うと、9倍の画像を撮影する必要が生じます。そのため、左カメラが復旧しない場合、探査車のルート偵察などに影響が出るとみられます。

ミッションチームはフィルターホイールを復旧する努力を続ける一方で、キュリオシティの原子力電池の性能を監視し続けるとともに、車輪の摩耗の軽減などの対策も行っているとのことです。

(参照)Mars Exploration Program