日欧共同の水星探査計画「ベピコロンボ」が、2023年6月20日(日本時間、以下同じ)に水星での3度目のフライバイを行います。フライバイは、惑星など天体の重力を利用して探査機の速度や軌道を変更するために行うものです。ベピコロンボは20日午前4時34分に、水星表面から約236kmの高度まで接近する予定です。
2018年10月に打ち上げられたベピコロンボはこれまで、地球で1回(2020年4月10日)、金星で2回(2020年10月15日、2021年8月10日)、水星で2回(2021年10月2日、2022年6月23日)のフライバイを行ってきました。水星でのフライバイは合計6回が予定されており、今回はそのうちの3回目の水星フライバイとなります。ベピコロンボは、2025年12月に水星へ到着する予定です。各惑星でのフライバイは、ベピコロンボが水星の重力に捕らえられるよう速度を落とすために行われます。
モニタリングカメラで水星表面を撮影予定
ベピコロンボは、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の水星磁気圏探査機「みお」(MMO:Mercury Magnetospheric Orbiter)とESA(ヨーロッパ宇宙機関)の水星表面探査機(MPO:Mercury Planetary Orbiter)、電気推進モジュールMTM(Mercury Transfer Module)が結合した形で水星へ向かっています。
水星に到着するまで、2機の探査機はMTMと結合した状態のため、フライバイ時にメインのカメラで水星を撮影することはできません。フライバイの際には、MTMに設置されている3台のモニタリングカメラ(MCAM)での撮影が予定されています。
なおベピコロンボの水星への最接近時は、水星の夜側を通過するため、水星表面の撮影は最接近から約13分後に行われる予定です。
MCAMによる撮影のほか、プラズマ環境の測定など複数の機器による科学観測や機能テストなどがフライバイ中に行われることになっています。
(参照)ESA