この画像は、NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星探査車キュリオシティがとらえたものです。ふだんよく見る火星の風景とは色合いが違っています。やや特殊な方法で「芸術的に」仕上げられた画像だからです。
キュリオシティは2023年4月8日に、この風景を撮影しました。ナビゲーションカメラを使い、現地時間の午前9時20分と午後3時40分に同じ風景を撮影。時間帯が異なるため太陽の方向も異なる2枚の画像を合成しているため、光と影の具合が幻想的ともいえる雰囲気をかもし出しています。
キュリオシティは、2012年に火星のゲール・クレーターに着陸して以来、クレーター内にある高さ5kmのアイオリス山(シャープ山)のふもとを登りながら探査を続けてきました。
画像の右下にはキュリオシティの機体の一部が見えており、そこに続く車輪の跡が地面に見られます。奥には「Marker Band Valley」と呼ばれる場所や、「Bolivar」「Deepdale」といった2つの丘などが映っています。
画像には約40kmも離れたところにあるゲール・クレーターの縁も映っています。また撮影時には空が澄んでいたため、ゲール・クレーターから87kmも離れた場所にある山も見えています。
朝と午後に撮影された画像
こちらは朝9時20分に撮影された画像です。画像右上の空が明るくなっています。
こちらは午後3時40分に撮影された画像です。朝の画像とは異なり、空の左上側が明るくなっています。
朝に撮影された画像も午後の画像も、5枚の画像をパノラマ合成しています。そして朝の画像を青色、午後の画像をオレンジ色に着色するなどして合成したのが冒頭の画像です。
なお今回紹介した画像と同じ手法で合成されたキュリオシティの画像は、2021年11月にも公開されたことがあります。(参考記事)探査車キュリオシティの画像から作られた火星の幻想的な光景
Image Credit: NASA/JPL-Caltech