この画像に映っているのは「VV 191」と呼ばれる銀河のペアです。どちらも比較的近距離にある銀河ですが、相互作用はしていません。
画像はジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡とハッブル宇宙望遠鏡のデータを組み合わせたものです。両者を組み合わせたことで、奥(左)にある楕円銀河から発せられ、手前(右)の渦巻銀河を通過して地球に届いた光を追跡して渦巻銀河の星間塵の影響が特定されました。
ウェッブ望遠鏡の近赤外線データは、右の渦巻銀河の塵の多い渦状腕の詳細を示しています。渦状腕の塵は、左の楕円銀河の中央部と重なってシルエットのように見えています。
画像の背景には、VV 191よりはるかに遠方にある銀河も数多く映っています。たとえば楕円銀河の左上に、見た目が同じくらいの銀河が2つ映っていますが、色が非常に異なっています。一方は非常に塵が多く、もう一方は非常に遠方にある可能性があります。
重力レンズでゆがんだ遠方銀河の姿も
ウェッブ望遠鏡による新たな近赤外線データにより、重力レンズでゆがんだ銀河の姿もとらえられました。非常にかすかだったため、ハッブル宇宙望遠鏡の画像では確認されていなかったものです。
楕円銀河の中央部(左下の枠内)、10時の方向に赤い円弧が映っています。これは非常に遠方にある銀河で、楕円銀河の重力によって形がゆがんで見えています。また4時の方向にも銀河中心に近いところで、同じ遠方銀河が赤い点として見えています。
ウェッブ望遠鏡の画像はNIRCam(近赤外線カメラ)を使い近赤外線でとらえたもの、ハッブル望遠鏡の画像はWFC3(広視野カメラ3)を使い可視光と紫外線でとらえたものです。
Credits:
SCIENCE: NASA, ESA, CSA, Rogier Windhorst (ASU), William Keel (University of Alabama), Stuart Wyithe (University of Melbourne), JWST PEARLS Team
IMAGE PROCESSING: Alyssa Pagan (STScI)