珍しい大爆発現象が予期しない場所で発生していた ハッブル望遠鏡が観測 | アストロピクス

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珍しい大爆発現象が予期しない場所で発生していた ハッブル望遠鏡が観測

LFBOT「AT2023fhn」の想像図。Image Credit: NASA, ESA, NSF's NOIRLab, Mark Garlick , Mahdi Zamani
LFBOT「AT2023fhn」の想像図。Image Credit: NASA, ESA, NSF's NOIRLab, Mark Garlick , Mahdi Zamani

ハッブル宇宙望遠鏡の観測により、「LFBOT(Luminous Fast Blue Optical Transients)」と呼ばれる明るく輝く天体現象が、予期せぬ場所で発生していたことが判明しました。

LFBOTは、青色の光で明るく輝き、急速に明るくなります。その後、暗くなるのに数週間〜数か月かかる超新星とは異なり、ピークから数日で減光していきます。LFBOTの観測例はまだ少なく、2018年に初めて発見されてから1年に1回程度しか検出されていません。

「AT2023fhn」と名付けられたLFBOTは、2023年4月10日にZTF(Zwicky Transient Facility)で発見されました。その後、南米チリにあるジェミニ南望遠鏡の観測から、AT2023fhnの温度は2万℃ほどと判明。またX線や電波などの観測もあわせて、AT2023fhnが確かにLFBOTであることが裏付けられました。

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銀河から離れた場所で発生していた

ハッブル宇宙望遠鏡は、AT2023fhnが最も近い渦巻銀河からは約5万光年、より小さな矮小銀河からでも約1万5000光年も離れたところで発生していたことを発見しました。

ハッブル宇宙望遠鏡が撮影したAT2023fhn。画像中央付近の渦巻銀河や、その左上にある矮小銀河などから離れたところで発生しました。Image Credit: NASA, ESA, STScI, Ashley Chrimes (ESA-ESTEC/Radboud University)
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影したAT2023fhn。画像中央付近の渦巻銀河や、その左上にある矮小銀河などから離れたところで発生しました。Image Credit: NASA, ESA, STScI, Ashley Chrimes (ESA-ESTEC/Radboud University)

LFBOTの正体は、珍しいタイプの超新星爆発だと考えられてきました。ただ、超新星爆発を起こす大質量星は寿命が短く、超新星爆発する前に星が生まれた場所からあまり遠くまで移動することはできません。これまでLFBOTはすべて、銀河の渦状腕で発見されてきました。しかしAT2023fhnは銀河の外で発見されたのです。

超新星ではないとすると何なのか。太陽の100〜1000倍の質量をもつ中間質量ブラックホールに星が引き裂かれたものである可能性があるほか、何十億年も互いを周回しながら母銀河のはるか外側を移動した2つの中性子星が合体した末の大爆発である可能性も検討されているとのことです。

(参照)Hubblesite