最果ての惑星である海王星の衛星トリトンを、NASA(アメリカ航空宇宙局)の惑星探査機ボイジャー2号がとらえた画像です。トリトンの南極付近が映っています。ボイジャー2号は1989年に海王星のそばを通過しながら、海王星や衛星などの観測を行いました。
トリトンの直径は約2700kmで、13個発見されている海王星の衛星の中で最大の天体です。太陽系にある衛星の中では7番目の大きさです。太陽系にある大きな衛星の中では唯一、惑星の自転とは逆方向に公転しています。このような衛星は「逆光衛星」と呼ばれます。海王星以遠にあるカイパーベルト天体が、かつて海王星の重力にとらえられて衛星になったのではないかと見られています。
トリトンは、太陽系で最も温度の低い天体の一つです。ボイジャー2号はトリトンの表面温度がマイナス239度Cであることを確認しました。トリトン表面にはクレーターはまばらで、ボイジャー2号の画像には火山性の平原や、氷の溶岩流によって形成された丘や円形の穴などが映っていました。表面は窒素の氷で覆われています。
トリトンには、少量のメタンを含む窒素が主成分の薄い大気が存在します。画像の下の方に見られる暗い筋は、巨大な間欠泉から噴き出して堆積した氷や炭素質の塵と考えられています。一部はボイジャー2号の接近時に活動していることが確認されました。
Image Credit: NASA/JPL/USGS