ボイジャー1号が太陽圏外で、星間物質のかすかな「音」を聴いていた | アストロピクス

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ボイジャー1号が太陽圏外で、星間物質のかすかな「音」を聴いていた

1977年に打ち上げられたNASA(アメリカ航空宇宙局)の惑星探査機ボイジャー1号は、今でも交信を続けながら地球から227億4500万km以上離れたところを航行中です。2012年8月に人工物として初めて太陽圏を脱しており、現在は星間空間を進んでいます。

そのボイジャー1号のデータから、星間空間での物質密度が初めて連続的に測定された可能性のあることが報告されました。アメリカ、コーネル大学のStella Ocker氏らの研究です。

太陽で爆発現象が起きて衝撃波が伝わると電子を振動させ、電子の密度に応じて特定の周波数で鳴り響きます。その音(周波数)が高いほど、電子密度が高いことを意味します。ボイジャー1号に搭載されているプラズマ波サブシステム(PWS)は、その「音」を聞くために設計されました。2012年に星間空間に出て以降、何度か大きな音が聞こえたことはありました。ただそれは不定期だったため、星間物質の密度は飛び飛びの場所でしか分かっていませんでした。

Ocker氏らはときおり生じる大きな音ではなく、連続的に生じているかすかな音をボイジャーのデータから探し出しました。その信号はノイズよりわずかに大きい程度でしたが、Ocker氏らは信号を検出することに成功。それにより星間物質の密度の連続的な地図を得ることができたのです。

検出された信号に基づくと、ボイジャー1号周辺の電子密度は2013年に上昇し始め、2015年半ばごろに現在のレベル(約40倍の密度)に達しました。Ocker氏らが分析した2020年初めまでの期間を通じて、多少の変動はあるものの似たような密度範囲にあるようです。

かすかな信号が生じるメカニズムはまだはっきりしていません。Ocker氏らは現在、それが生成される物理モデルを構築しようとしているとのことです。

Image Credit: NASA/JPL-Caltech

(参照)NASA