
この画像はハッブル宇宙望遠鏡がとらえたもので、超新星残骸の「かに星雲(M1)」が映っています。かに星雲の元になった1054年の超新星は、日本や中国などの記録に残っています。現在は差し渡し6光年まで残骸が広がっています。
ハッブル宇宙望遠鏡は1990年4月24日に打ち上げられました。NASA(アメリカ航空宇宙局)はハッブル宇宙望遠鏡の打ち上げ35周年(2025年4月24日)に向けて、これまでハッブルが撮影してきた画像から、「35 Years of Hubble Images」と題して各年1枚ずつ選んで紹介しています。かに星雲をとらえたこの画像は、16年目の画像として紹介されています。
かに星雲は、おうし座の方向、6500光年の距離にあります。冒頭の画像は、ハッブル望遠鏡が3か月かけて撮影した24枚の画像から構成されています。オレンジ色のフィラメントは星の残骸で、ほとんどが水素で構成されています。
星雲の中心には、超新星爆発の後に残された、高速回転する中性子星(パルサー)が存在しています。星雲に見られる青くぼんやりした光はシンクロトロン放射です。シンクロトロン放射は、光速に近い電子などの荷電粒子が、磁力線のまわりを運動する際に放出されます。
(参考)超新星残骸「かに星雲」をジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡がとらえた
(参考)「35 Years of Hubble Images」記事一覧
Image Credit: NASA, ESA, J. Hester and A. Loll (Arizona State University)