ボイジャー探査機はどこへ向かうのか | アストロピクス

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ボイジャー探査機はどこへ向かうのか

1977年に打ち上げられて以来、2機のボイジャー探査機は46年以上にわたり航行を続けてきました。最近は延命措置を図る一方で、不具合が発生しながらも復旧することを繰り返しつつ運用されています。ボイジャー1号は2023年11月に発生した不具合がまだ続いています。(参考記事)ボイジャー1号、コンピューターシステムに問題発生

2機のボイジャーは、プルトニウム238の崩壊によって発生する熱を電気に変換する原子力電池によって電力を得ています。供給電力は次第に減っており、科学機器が動作しなくなる日も遠からずやってきます。ただ科学観測や地球との通信ができなくなったとしても、ボイジャー探査機は沈黙したまま飛び続けていくことになります。

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3万8000〜4万年ほどのちに他の恒星付近へ

ボイジャー1号、2号の現在位置。NASA Eyes on the Solar Systemより

では2機のボイジャー探査機は、この先どこへ向かうのでしょうか。

ボイジャー1号は、太陽向点(太陽が進む方向)方向へ黄道面(地球の公転軌道面)から北へ35度の角度で進んでいます。地球から見ると、へびつかい座の方向になります。ボイジャー1号は1年間に約3.5天文単位の速度で遠ざかっており、西暦40272年には「グリーゼ445(Gliese 445)」と呼ばれる、こぐま座の赤色矮星から約1.7光年以内まで接近します。※1天文単位は太陽〜地球間の平均距離に相当する約1億5000万km

一方、ボイジャー2号は、黄道面から南へ48度の角度で年に約3.1天文単位の速度で進んでいます。地球から見ると、ボイジャー2号は現在、くじゃく座の方向にいます。約4万年後、ボイジャー2号はアンドロメダ座の「ロス248(Ross 248)」という赤色矮星から約1.7光年以内に接近することになります。

2機のボイジャー探査機はいずれ、天の川銀河を周回する運命にあるとみられています。ボイジャー探査機には、地球や人類に関連する情報を記録した「ゴールデンレコード」が搭載されていますが、いつの日か、その情報を読み解く地球外知的生命に出会うことはあるのでしょうか。

Image credit: NASA, ESA, and G. Bacon (STScI)

(参考記事)「ボイジャー1号、2号の現在地は? 今どこにいるのか」「ボイジャー探査機の『ゴールデンレコード』

(参照)Voyager - Frequently Asked Questions10 Things: Going Interstellar - NASA Science