ボイジャー2号、機器の保護のための電力を流用し科学機器を延命へ | アストロピクス

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ボイジャー2号、機器の保護のための電力を流用し科学機器を延命へ

1977年に打ち上げられたNASA(アメリカ航空宇宙局)の探査機ボイジャー2号は現在、地球から200億km以上離れた星間空間を航行中です。ボイジャー探査機の電源は原子力電池で、プルトニウム238の崩壊によって発生する熱を電気に変換して電力を得ています。供給される電力は年々減っており、飛行の維持に不可欠ではないヒーターのシステムなどをオフにしつつボイジャー2号は航行してきました。ただオフにできるシステムはすでに尽きており、科学機器の電源を切ることを検討する段階になっていました。

そこでボイジャーのチームは、科学機器のシャットダウンを避けるための方策を検討しました。ボイジャー探査機には、電圧の大幅な変動が生じた場合にバックアップ回路を作動させる電圧調整器が装備されています。ボイジャーのチームは、その回路用に確保されている少量の電力を科学機器の動作維持ために使用することにしました。電圧変動のリスクよりも、科学機器をより長く動作させることのメリットが大きいと判断されたのです。今回の措置により、科学機器のシャットダウンを2026年まで延期できるとのことです。

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ボイジャー1号は?

なおボイジャー1号については、科学機器の1つがすでに故障している関係で、科学機器をオフにするかどうかの判断は来年まで先送りされています。ボイジャー2号での今回の対応がうまくいけば、ボイジャー1号でも同様の措置をとる可能性があるとしています。

ボイジャー1号は木星と土星、ボイジャー2号は木星、土星に加えて天王星と海王星の探査を行いました。ボイジャー1号は2012年、2号は2018年に太陽圏を出て星間空間に到達しました。

Image Credit: NASA/JPL-Caltech

(参照)JPL