太陽の手前を月が通過する現象は「日食」と呼ばれますが、太陽の手前を通過するのは月だけではありません。地球よりも内側を公転する金星や水星が太陽の手前を通過することもあります。水星や金星が太陽の手前を通過する現象は「日面通過(太陽面通過)」と呼ばれます。
10年前の2012年6月6日、金星の日面通過が観測されました。この画像は、NASA(アメリカ航空宇宙局)の太陽観測衛星SDOが、そのときの金星の日面通過をとらえたものです。明るい太陽を背景に金星がシルエットとなって映っています。画像は17.1nmの波長の極端紫外線で撮影したもので、太陽の上層大気である「コロナ」が見えています。
金星の日面通過は非常に珍しい現象で、8年、105.5年、8年、121.5年という周期で繰り返して発生します。105.5年あるいは121.5年の間隔を空けて、8年間隔で2度起きるのです。2012年の前の金星の日面通過は、8年前の2004年6月8日に発生していました。2012年の次に金星の日面通過が発生するのは105.5年後の2117年12月。そして8年後の2125年にも発生します。その121.5年後にまた8年間隔で起きることになります。
これら2枚はSDOが30.4nmの波長で撮影した画像。
こちらはSDOがとらえた日面通過の映像をまとめたものです。
2012年に起きた金星の日面通過は、日本の太陽観測衛星「ひので」でも観測されました。以下は「ひので」がとらえた日面通過のようすです。
この「ひので」の画像には、太陽の「彩層」と呼ばれる大気が映っています。
こちらも「ひので」が撮影したもので、太陽の光球が映っています。