大西洋を渡るサハラの砂塵

これらの画像はどちらも地球観測衛星NOAA-20が撮影したもので、中央に大西洋が、右にアフリカ大陸、左下に南アメリカ大陸が映っています。大西洋上にはアフリカのサハラ砂漠から舞い上がり西へ向かう大量の砂塵が見えています。NASA Earth Observatoryで2022年6月7日の「Image of the Day(今日の1枚)」として紹介された画像です。

1枚目は2022年6月3日、2枚目は6月5日に撮影されました。NASA(アメリカ航空宇宙局)の衛星観測によって、この地域では5月29日から6月6日にかけて砂塵が大幅に増加したことが観測されました。

大気中に舞い上がった砂塵は、地表に届く太陽エネルギーの量を変化させます。雲や嵐の形成にも関係したり、人体に影響を与えたりもします。また砂塵は植物や植物プランクトンが必要とする鉄分やミネラルに富んでおり、海洋生態系や陸地の植物に養分を提供する役割もあります。

サハラ砂漠は大気中に浮遊する塵の最大の発生源で、砂塵を巻き上げる嵐は1年中発生する可能性があります。冬や春に発生する嵐では、大西洋をこえてアマゾンの熱帯雨林に養分を提供します。また夏の季節風はアフリカからカリブ海やメキシコ湾まで砂塵を運びます。2022年5月にはアメリカのフロリダ州やテキサス州などに砂塵が到達しました。

Image Source: NASA’s Earth Observatory

(参照)NASA Earth Observatory