エリダヌス座の渦巻銀河NGC 1309 ハッブル宇宙望遠鏡が撮影

この画像には、ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた渦巻銀河NGC 1309が映っています。NGC 1309は、エリダヌス座の方向、地球から約1億光年の距離にあります。

銀河中心はやや黄色みを帯びており、青い星々からなる渦状腕が渦を巻きながら外側へ伸びています。渦状腕には暗黒帯(ダストレーン)も見られます。NGC 1309の周辺や、NGC 1309の向こう側に数多くの天体が映っていますが、それらはほぼ全てが独立した銀河です。画像の上端近くにある光のすじ(回折スパイク)を伴った星だけが例外で、これは天の川銀河の中にある地球から数千光年しか離れていない星です。

NGC 1309では2002年にSN 2002fk、2012年にSN 2012Zという超新星爆発が観測されました。SN 2002fkは死んだ恒星の核(白色矮星)が爆発するIa型超新星、SN 2012ZはIax型超新星というやや珍しいタイプの超新星爆発でした。

SN 2012Zについてはハッブル宇宙望遠鏡の観測から、白色矮星が完全には破壊されず、爆発前より明るく輝く「ゾンビ星」が残ったことが明らかになりました。ハッブル望遠鏡によるSN 2012Zの観測は数年にわたり行われ、超新星爆発前に撮影された画像から、超新星のもとになった白色矮星が初めて特定されたとのことです。

画像は、ハッブル宇宙望遠鏡のWFC3(広視野カメラ3)とACS(掃天観測用高性能カメラ)で撮影されたもので、「今週の1枚(Picture of the Week)」として2025年7月28日に公開されました。

なおハッブル宇宙望遠鏡がとらえたNGC 1309の画像については、2005年に撮影した画像をアストロピクスで紹介したことがあります。→「ハッブル望遠鏡がとらえたエリダヌス座の渦巻銀河NGC 1309

(参考)「ハッブル今週の1枚」記事一覧

Image Credit: ESA/Hubble & NASA, L. Galbany, S. Jha, K. Noll, A. Riess

(参照)ESA/Hubble