ダークエネルギーカメラがとらえた「ほ座超新星残骸」の中心部 | アストロピクス

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ダークエネルギーカメラがとらえた「ほ座超新星残骸」の中心部

巨大な星の最期の大爆発によって残された残骸の中心部が、5億7000万画素のカメラで撮影されました。

画像に映っているのは、ほ座の方向、約800光年の距離にある「ほ座超新星残骸」です。大質量星は一生の最後に「超新星爆発」と呼ばれる大爆発を起こします。ほ座超新星残骸は、爆発から1万1000年ほど経過した姿です。

超新星爆発の衝撃波によって周囲の星間物質が圧縮され、カラフルなフィラメント状に輝いています。ほ座超新星残骸は全体が約100光年もあり、夜空では満月の直径に20倍にも及ぶ巨大な天体です。

星の外層が吹き飛んだあと、中心には中性子星が残されました。「ほ座パルサー」として知られているその中性子星は、直径数キロメートルにもかかわらず太陽ほどの質量をもっています。上の画像では他の星と区別できませんが、ほ座パルサーは画像の左下側に映っています。

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画像に映るもう一つの超新星残骸

冒頭の画像には、ほ座超新星残骸とは別の超新星残骸も映っています。この画像は冒頭の画像の右上部分のクローズアップで、「とも座A」と呼ばれる超新星残骸が映っています。とも座Aの大きさは直径約100光年で、地球から約6500〜7500光年離れたところにあります。ほ座超新星残骸と重なって見えていますが、4倍も遠いところにある超新星残骸なのです。

画像の撮影に使われたのは、南米チリ、セロ・トロロ汎米天文台(CTIO)にあるビクター・M・ブランコ4m望遠鏡に搭載されている「ダークエネルギーカメラ(DECam)」。DECamはもともと、ダークエネルギー(暗黒エネルギー)の解明に向けた「ダークエネルギーサーベイ」で使われていましたが、サーベイ計画の後はさまざまな観測に利用されています。冒頭の画像は、複数の画像が合成されており、オリジナル画像のサイズは3万5786×3万5881ピクセルもあります。

Image Credit: CTIO/NOIRLab/DOE/NSF/AURA
Image Processing: T.A. Rector (University of Alaska Anchorage/NSF’s NOIRLab), M. Zamani & D. de Martin (NSF’s NOIRLab)

(参考記事)地球に最も近い残骸の一つ「ほ座超新星残骸」の超高解像度画像

(参照)NOIRLab