まるで翼を広げて夜空を飛んでいるように見えるこの星雲は、いっかくじゅう座とおおいぬ座の境界付近、地球から約3700光年の距離にあるIC2177です。日本では「わし星雲」、欧米では「かもめ星雲」として知られています。
ESO(ヨーロッパ南天天文台)のVST(VLTサーベイ望遠鏡)に設置されたカメラOmegaCAMで撮影されました。VSTはESOパラナル天文台に設置されている口径2.6mの望遠鏡で、南米チリのアタカマ砂漠にあります。
鳥の翼にあたる部分(シャープレス2-296)は、恒星からの紫外線によってガスが電離して光っている輝線星雲です。翼の端からもう一方の端までの幅は約100光年に及びます。画像を拡大してみると、星からの放射によって星雲が削られてできた柱状の構造などもみられます。
鳥の頭にあたる部分(シャープレス2-292)は、ガスが電離して光っている部分と、星からの光を星雲が反射して光っている部分とがあり、輝線星雲と反射星雲の両方の性質をもった星雲になっています。ひときわ明るく輝いている星は、太陽の20倍の質量をもつ「HD 53367」と呼ばれる巨大星です。
なおオリジナル画像は640.5MBもあり、ダウンロードするのは大変です。以下のページでは、ブラウザ上で高解像度画像を拡大・縮小しながら閲覧できますので、興味のある方はご覧になってみてください。
https://www.eso.org/public/images/eso1913a/zoomable/
Image Credit: ESO/VPHAS+ team/N.J. Wright (Keele University)