すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラHSCで2014〜21年に行われた大規模撮像探査(HSC-SSP)のうち、半分弱の約3年分の観測データから得られた「宇宙の構造形成の進行度合いを表す物理量(S8)」が、Planck衛星による宇宙背景放射の測定結果から得られる値より小さいとする研究結果が発表されました。HSC-SSPの国際共同研究チームによる研究です。
研究チームは重力レンズ効果を利用して宇宙のダークマターの分布を精密に測定。その結果得られたS8が、欧米の重力レンズ研究の測定結果と一致した一方、Planckの結果より小さいことが分かりました。宇宙の標準理論が正しければどの測定結果も一致するはずで、宇宙の標準理論に含まれていない物理が存在する可能性を示唆しているとのこと。
今後、HSC-SSPの最終データを用いた解析や、すばる望遠鏡の超広視野多天体分光器による観測で、S8不一致問題が解決することが期待されています。【1分で読む宇宙ニュース】
(参照)Kavli IPMU、すばる望遠鏡