天の川の下で空に向かいレーザー光を照射する「すばる望遠鏡」 | アストロピクス

天の川の下で空に向かいレーザー光を照射する「すばる望遠鏡」

この画像は、ハワイ島、マウナケア山頂付近にある「すばる望遠鏡」を映したものです。天の川が流れる夜空に向かい、望遠鏡からレーザー光が伸びています。夜空には、わし座のアルタイル(天の川の左側)や、こと座のベガ(画像右上)などが見えています。

地上から夜空の星を見ると、ちかちかと瞬いて見えます。これは大気の温度や密度が場所によって異なるために屈折率が変化し、星からやってくる光が乱れるためです。地上の望遠鏡で観測すると、そのような大気のゆらぎによって星の像がぼやけてしまいます。

現在は「補償光学」と呼ばれる技術により、大気のゆらぎの影響が補正されています。補償光学では、観測天体の近くにある明るい星(ガイド星)の光の波面を観測し、大気のゆらぎの影響を打ち消すように鏡の表面の形を変化させることでシャープな天体の像を得ることができます。

観測天体の近くに明るい星がない場合、レーザーによって人工的なガイド星(レーザーガイド星)を作って大気のゆらぎを測定します。画像で空に向かっているのは、レーザーガイド星生成システムによる光です。

画像は2025年6月4日、すばる望遠鏡のウェブページで公開されました。

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Image Credit: Dr. Vera Maria Passegger/国立天文台

(参照)すばる望遠鏡