ろ座の特異銀河NGC 922 ダークエネルギーカメラで撮影

この画像に映っているのは、ろ座にある特異銀河NGC 922です。南米チリ、セロ・トロロ汎米天文台にあるビクター・M・ブランコ4m望遠鏡に搭載されている「ダークエネルギーカメラ(DECam)」で撮影されました。

NGC 922が変形しているのは従来、約3億3000万年前に近くにあった矮小銀河が衝突した結果生じたと考えられてきました。しかし新たな観測により、傘のような形の潮汐の尾が明らかになりました。そして新たに検出された尾が、矮小銀河の軌道と一致していないことが示されたのです。これは矮小銀河の衝突説と矛盾します。さらに、矮小銀河自体に進行中の星形成の兆候が示唆されました。また矮小銀河が明確な構造をもっており、これは衝突の影響としては矛盾しています。

そこで、NGC 922に関して新たな説が浮上しています。NOIRLab(アメリカ光学・赤外天文学研究所)によれば、NGC 922の複雑な構造は、過去に起きた他の銀河との相互作用によって多くの物質を失った矮小銀河との合体の結果である可能性があるとのことです。

5億7000万画素のDECamはもともと、ダークエネルギー(暗黒エネルギー)の解明に向けた「ダークエネルギーサーベイ」のために製造されました。サーベイ計画の後は、さまざまな観測に使われています。

画像は、NSF(アメリカ国立科学財団)のNOIRLabから2024年9月25日に「Images of the Week」として公開されたものです。

(参考)
小銀河の通過で「リング」になった銀河NGC 922 ハッブル宇宙望遠鏡が撮影
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Credit:
Dark Energy Survey/DOE/FNAL/DECam/CTIO/NOIRLab/NSF/AURA
Image Processing: J. Miller (International Gemini Observatory/NSF NOIRLab), M. Rodriguez (International Gemini Observatory/NSF NOIRLab), T.A. Rector (University of Alaska Anchorage/NSF NOIRLab) & M. Zamani (NSF NOIRLab)

(参照)NOIRLab