ボイジャー2号、科学機器の1つ「プラズマサブシステム」を停止

ボイジャー1号とともに、恒星間空間を航行しているボイジャー2号。1977年の打ち上げから47年が経過し、電力供給が徐々に低下していることから、探査機に搭載されているプラズマサブシステム(PLS)の電源を切る措置が2024年9月26日に実施されました。

2機のボイジャー探査機は、プルトニウム238の崩壊熱から電力を得ています。1980年代に2機のボイジャーが巨大惑星の探査を終えたのち、星間空間の研究には使用されない複数の科学機器の電源が切られました。また航行を維持するのに不可欠ではないヒーターをオフにするなどしながら航行を続けてきました。科学機器を延命するため、ボイジャー2号では電圧を監視する方法も調整されました。(参考)ボイジャー2号、機器の保護のための電力を流用し科学機器を延命へ

そのような中で今回、ボイジャー2号のPLSの電源が切られることになったのです。なおボイジャー1号のPLSは、電力を節約するために2007年に電源が切られています。ボイジャー1号、2号ともに、現在は宇宙線サブシステムなど4つの科学機器が稼働しています。

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PLSでの有用なデータ取得は3か月に一度だった

PLSは、プラズマの量と流れを測定する装置です。PLSは4つの「カップ」で構成されています。3つのカップは太陽方向を向いており、太陽圏(ヘリオスフィア)内で太陽風を観測していました。もう1つは他の3つに対して垂直な方向を向いており惑星の磁気圏や太陽圏のプラズマ、そして最近は星間空間のプラズマを観測していました。

4つ目のカップから有用なデータが取得できたのは、最近では太陽方向の軸を中心に3か月に1度、探査機が360度回転するときだけでした。NASA(アメリカ航空宇宙局)は、そのことが他の機器よりも先にPLSの電源を切ることを決定する要因になったとしています。

PLSを停止するコマンドは2024年9月26日に送信されました。ボイジャー2号は現在、地球から205億km以上離れており、コマンドは19時間かけてボイジャー2号に到着しました。そして結果が戻ってくるまでさらに19時間待つ必要がありました。NASAによればコマンドは問題なく実行され、探査機が正常に動作していることが確認されたとのことです。

(参考記事)
ボイジャー1号、2号の現在地は? 今どこにいるのか
ボイジャー2号の主な成果は?

Image Credit: NASA/JPL-Caltech

(参照)Voyager - NASA blog