ベテルギウスから放出された物質が作り出す巨大な星雲

オリオン座の1等星ベテルギウスの周辺のようすを、ESOのVLTに設置した観測機器VISIRで撮影した画像で、2011年6月にリリースされたものです。複数の波長の赤外線で撮影されました。まるで炎のような星雲が広がっているのが映っています。この星雲は、ベテルギウスから放出された物質によって形成されました。

ベテルギウスは年老いて赤色超巨星になっており、太陽系でいえば木星軌道ほど(地球軌道の4.5倍ほど)の直径がある巨大な星です。この画像に映る星雲は、それよりはるかに大きなもので、太陽〜地球間の距離の約400倍、600億kmほどはなれています。中央の黒い円内の画像は過去記事(「ベテルギウスから噴き出すガスの巨大プルーム」)で紹介した画像で、中央に見える赤線の円がベテルギウスの大きさを示しています。

ベテルギウスのような赤色超巨星は、わずか1万年間で太陽の質量程度に匹敵する量の物質を放出します。画像に映っている星雲が不規則かつ非対称な形をしていることは、ベテルギウスが全方向に満遍なく物質を放出しているわけではないことを示しています。

Image Credit: ESO/P. Kervella

https://www.eso.org/public/ireland/images/eso1121a/