ESO(ヨーロッパ南天天文台)のVLT(超大型望遠鏡)でとらえたオリオン座のベテルギウス。2009年7月にリリースされた画像です。
赤色超巨星のベテルギウスは太陽の約1000倍の大きさがあり、仮に太陽の位置にベテルギウスを置くと、木星軌道に達するほどの大きさになります。太陽は生まれてから46億年が経過していますが、あと50億年ほど寿命が残っています。それに対してベテルギウスは、生まれてからまだ数百万年しか経っていませんが、すでに寿命が尽きかけており、遠からず超新星爆発を起こすのではないかとみられています。
VLTに取り付けられた補償光学装置NACOと、「ラッキーイメージング(※)」と呼ばれる手法を組み合わせ、ISS(国際宇宙ステーション)にあるテニスボールを地上から見分けられるほどの解像度でベテルギウスを観測したのが冒頭の画像です。観測の結果、ベテルギウスから周囲に広がるガスの巨大なプルームが検出されました。プルームは、太陽〜海王星間の距離(約45億km)に匹敵するほどまで広がっていました。
※ラッキーイメージングとは、連写した画像の中から鮮明なものを選んで重ね合わせる手法です。
Image Credit: ESO and P. Kervella
この想像図には、ベテルギウスとそこから噴出するガスのプルームが描かれています。右側のスケールは天文単位(AU)です(太陽〜地球間の距離=約1億5000万kmが1天文単位)。プルームは、太陽系で言えば海王星(Neptune)軌道あたりまで広がっています。左側はベテルギウスの半径を1としたスケールです。
別の観測から、ベテルギウスの大気中のガスは、泡立つように上下方向に激しく動いていることが分かりました。想像図では、そのようすも描かれています。
Image Credit: ESO/L. Calçada