火星の南極の春の風物詩〜氷の下から噴き出した塵の跡

この画像は、NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星探査機マーズ・リコネッサンス・オービターが、火星の南極冠付近をとらえたものです。

画像に見られる地形や暗い領域は、水や二酸化炭素の氷(ドライアイス)がその形成に関係しています。

地中で凍った水の氷は、地表面をポリゴン(多角形)に分割します。春になるとドライアイスが昇華してポリゴンの境界部分を侵食することで、溝が曲がりくねります。

火星の南極では、冬になると太陽が1日中昇らない極夜が訪れ、表面にはドライアイスが蓄積して層をなします。春になるとドライアイスの層に穴があき、そこからガスが噴き出します。

そのとき、ガスとともに氷の下にある暗い色の塵も噴き出します。その塵が風に運ばれて表面に降り積もったところが、画像に見られる暗くなっている部分です。

穴はいったん閉じた後でまたあくことがあります。風向きの変化に応じて塵が流される方向も変わるため、複数の方向に塵が降り積もることになります。画像でも塵が2方向に降り積もっているのが映っています。なお明るく見えているのは、暗い塵が氷に沈んだ痕跡です。

マーズ・リコネッサンス・オービターに搭載された高解像度カメラHiRISEのウェブページ(アリゾナ大学)では、HiRISEで撮影した画像を毎日1枚ずつ、HiPOD(HiRISE Picture of the Day、HiRISEの今日の1枚)として紹介しています。この画像は2022年3月30日に撮影されたもので、2022年6月20日のHiPODとして紹介されました。

Image Credit: NASA/JPL/UArizona

(参照)HiRISE