マーズ・パスファインダー着陸25周年。火星初の探査車「ソジャーナ」も活躍 | アストロピクス

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マーズ・パスファインダー着陸25周年。火星初の探査車「ソジャーナ」も活躍

画像はNASA(アメリカ航空宇宙局)の火星着陸機マーズ・パスファインダーがとらえた火星の地表のようすです。

マーズ・パスファインダーは、1996年12月4日に打ち上げられ、翌1997年7月4日に火星のアレス谷へ着陸しました。パラシュートを使って大気中を降下したあと、最終的に機体をエアバッグで包み込み、火星表面をバウンドしながら着陸する方法を採用しました。エアバッグを利用した着陸方法は、2004年1月に火星着陸に成功した探査車スピリットやオポチュニティでも採用されました。

画面手前に映る機体の下に、しぼんだエアバッグがみえています。画面左奥の地平線上には、「ツインピークス」と呼ばれる二つの山がみえています。

マーズ・パスファインダーには、「ソジャーナ」と呼ばれる重量10.6kgの小さな探査車が搭載されていました。画面右奥の岩の近くにあるのがソジャーナです。ソジャーナの車輪の跡が、途中で円を描いています。これは土の性質を調べるための実験の一環として走行したものです。

マーズ・パスファインダーは、着陸から1997年9月27日の最終データ送信まで、23億ビットのデータを送信してきました。1万6500枚以上の画像を撮影したほか、岩石や土について15以上の化学分析を行い、風など気象に関するデータも送ってきました。

パスファインダーからの風景(360度パノラマ)
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史上初の火星探査車「ソジャーナ」

この画像は、火星着陸22火星日にパスファインダーから撮影されたソジャーナです。ソジャーナのまわりには暗い岩や赤く明るい塵、車輪の跡によって露出した赤黒い土、暗い土などが映っています。

ソジャーナは6つの車輪を備えていました。最高速度は秒速1cm弱で、パスファインダーから500m程の距離を移動する能力がありました。

アメリカのアポロ計画において月で月面車が運用されたことはありますが、地球以外の惑星に車輪付きの車両が降り立ったのはソジャーナが初めてでした。ソジャーナは83日間のミッションの間に、数百平方mの範囲をカバーし、550枚の画像を送信してきました。また異なる16か所で化学分析も行いました。

ちなみにNASAの最新の火星ローバー「パーサヴィアランス」の重量は1025kg、最高速度は秒速4.2cmです。NASAの火星ローバーは25年ほどの間に大きく進化してきましたが、その歴史はソジャーナの成功からスタートしているのです。(参考記事)NASAの歴代火星探査車の大きさ比較

※この記事は2019年7月4日と2021年7月4日に掲載した記事をもとに情報を追加・修正したものです。

Image Credit: NASA/JPL

(参照)Planetary Photojournal(1)(2)NASA Solar System Exploration