ハッブルがとらえた巨大銀河団Abell 1351と重力レンズ | アストロピクス

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ハッブルがとらえた巨大銀河団Abell 1351と重力レンズ

この画像には、ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた、おおぐま座の銀河団Abell 1351が映っています。2022年6月20日に、ハッブル宇宙望遠鏡の「今週の1枚(Picture of the Week)」としてリリースされた画像です。

銀河団では、100個程度以上の銀河が重力で結びついて集団となっています。銀河団には星や銀河だけでなく、電磁波では観測できないダークマター(暗黒物質)も大量に存在しており、その巨大な重力によって空間をゆがめてしまいます。

画像のところどころに、光の筋のようなものが見えます。これは空間のゆがみによって、遠方にある銀河の像が細長く引き伸ばされて見えているものです。

このように重力によって空間がゆがみ、遠方の天体からの光が曲がったり増幅したりする現象は「重力レンズ効果」と呼ばれます。重力レンズ現象を調べることで、Abell 1351のような銀河団内の質量の分布を調べることができます。

この画像はハッブル望遠鏡の「スナップショット・プログラム」で撮影されたものです。このプログラムは、ハッブル望遠鏡の観測の隙間を埋めるためのもので、比較的短い露出時間の観測がリスト化されています。スナップショット候補を用意しておくことで、できるだけ多くの時間を観測に充てることができ、望遠鏡の科学的成果を最大化することにもつながります。

Credit:
ESA/Hubble & NASA, H. Ebeling
Acknowledgement: L. Shatz

(参照)ESA/Hubble