最新画像処理で蘇った、ガリレオ探査機撮影のエウロパ画像 | アストロピクス

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最新画像処理で蘇った、ガリレオ探査機撮影のエウロパ画像

木星には17世紀にガリレオ・ガリレイが発見した4つの大きな衛星があります。「ガリレオ衛星」と呼ばれる4大衛星の1つがエウロパです。エウロパは表面を氷で覆われており、氷の下には海が存在していると考えられています。その海には生命が存在するかもしれないともいわれています。

このページで紹介している画像は2020年5月1日に公開されたもので、NASA(アメリカ航空宇宙局)の木星探査機ガリレオが、1998年9月26日にエウロパをフライバイした際に撮影した画像を、最新技術で再処理して作られた画像です。

ガリレオ探査機はエウロパで合計11回のフライバイを行いましたが、このページの画像は8回目のフライバイ時に撮影されたグレイスケール(白黒)の画像に、別のフライバイ時に撮影した低解像度のカラー画像を利用して着色したものです。化学組成の違いなどをわかりやすくするため、色は強調されています。青っぽい領域はほぼ水の氷でできており、赤っぽい領域には、塩のような氷以外の物質が多く含まれています。

エウロパの表面には、尾根(幅の狭い筋状の地形)や帯状の地形、カオス地形などが存在しています。カオス地形とは、氷山ブロックが移動したり回転したり、傾斜したりした地形です。冒頭の画像には、左側のカオス地形から、右側の尾根のある平原へと移り変わる領域が映し出されています。

この画像は、尾根や幅の広い帯状地形で覆われた領域をとらえたものです。何か所か、小さなカオス領域も見られます。エウロパ表面に見られる尾根や帯状の地形は、エウロパの氷の地殻が木星の強い重力によって引き伸ばされたり引っ張られたりするときの反応に関係していると考えられています。

長く直線的な尾根は、表面の氷の亀裂が開閉を繰り返したときに形成されたのかもしれません。一方、帯状の地形は幅が広く比較的平坦になっており、亀裂が水平方向に引き離され続けているようにみえます。

この画像は、エウロパのカオス地形の領域をとらえたものです。いくつかの大きな氷山ブロックには、分裂する前の地形の特徴が残されています。それらの特徴を手がかりにして、研究者はジグソーパズルのようにいくつかのカオス領域を再構築し、氷山ブロックの動きを追跡しました。画像下の方や右上には、帯状の地形がみられます。

なお、NASAでは現在、エウロパを目指す探査機「エウロパ・クリッパー」ミッションを進めています。木星を周回しながらエウロパへのフライバイを繰り返し、エウロパを詳しく探査することになっています。

Image Credit: NASA/JPL-Caltech/SETI Institute

https://www.jpl.nasa.gov/news/news.php?feature=7656