ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた木星最新画像(2024年1月撮影)

ハッブル宇宙望遠鏡が2024年1月に撮影した木星の最新画像が複数、公開されました。

こちらの画像は1月5日に撮影されたもので、有名な大赤斑を含む半球が映っています。木星の南半球で目立つ、赤みを帯びた楕円が大赤斑です。大赤斑は、地球をまるごと飲み込んでしまうほどの大きさがあります。大赤斑の右下のほうには「オーバルBA」と呼ばれる楕円模様も見えています。

オーバルBAは1998年から2000年にかけて3つの白斑が合体してできた高気圧で、「赤斑ジュニア」と呼ばれることもあります。2006年には赤く見えていましたが、その後は淡いベージュ色になっていました。今年はまた赤みを取り戻してきています。赤く見える原因はわかっていませんが、硫黄やリン、有機物質などさまざまな化合物が関与している可能性があるとみられています。

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反対側の半球を翌日に撮影

こちらは反対側の半球を1月6日に撮影した画像です。濃い赤色の低気圧と、赤みを帯びた高気圧からなる嵐のペアが、中央右側に隣り合って出現しているのが映っています。それらの嵐は、それぞれ反対方向に回転しています。時計回りと反時計回りの嵐は互いに反発するため、はね返りながら通り過ぎると予想されています。

木星の左側には、衛星イオが映り込んでいます。イオの半径は1821.5kmで、地球の月(半径1738.1km)よりやや大きな天体です。太陽系で最も火山活動が活発なことで知られています。

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さまざまな角度から見た12枚の画像と回転を再現した映像

こちらは1月5〜6日に撮影された一連の画像を並べたものです。木星は10時間で自転していますが、大赤斑を見ることで木星の自転を追うことができます。一部の画像には衛星イオと、イオが木星に落とした影が映っています。

こちらの映像は、ハッブル望遠鏡が撮影した一連の画像を球体上にマッピングし、回転させたものです。

今回紹介した画像は、木星以遠の惑星の大気を観測する「OPAL(Outer Planets Atmospheres Legacy program)」というプログラムの一環で撮影されたものです。

Image Creidt: NASA, ESA, J. DePasquale (STScI), A. Simon (NASA-GSFC)

(参考記事)「ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた木星最新画像(2022年11月、2023年1月撮影)」「木星とエウロパ ハッブル宇宙望遠鏡による最新画像(2020年8月)

(参照)ESA/HubbleHubblesite