36時間で夏と冬が2回ずつ訪れるホットジュピター

KELT-9 bと主星の想像図。Credit: NASA's Goddard Space Flight Center/Chris Smith (USRA)

2017年に発見されたKELT-9 bという太陽系外惑星がNASA(アメリカ航空宇宙局)の太陽系外惑星探査衛星TESSで観測され、主星と惑星の少し変わったようすが明らかになりました。

はくちょう座の方向、670光年の距離にあるKELT-9 bは、直径が木星の1.8倍、質量が木星の2.9倍の巨大ガス惑星です。常に同じ面を恒星に向けながら36時間で公転しています。その軌道は恒星の両極のほぼ真上を通る極軌道です。KELT-9 bは、地球が太陽から受けるエネルギーの4万4000倍ものエネルギーを受けており、表面温度が4300℃に達しています。「ホットジュピター」と呼ばれる系外惑星の1つです。

KELT-9 bの主星も変わった星です。直径は太陽の約2倍あり、温度は平均で56%高温です。1周わずか16時間という、太陽の38倍ものスピードで自転しています。高速な自転のために、遠心力によって星の形は赤道方向に膨らんで扁平になっており、「重力減光」と呼ばれる現象が起きています。星の極が高温になって明るくなる一方、赤道領域は圧力が下がって低温になり暗くなっているのです。その結果、星の表面に800℃の温度差が生じています。

NASA's Goddard Space Flight Center

極軌道を公転するKELT-9 bでは、1周するごとに高温の極域と低温の赤道域の上を2回ずつ通過します。KELT-9 bは、恒星の極の上を通過するときに“夏”を、赤道の上を通過するときに“冬”を迎えることになります。36時間の1公転ごとに、それぞれ約9時間の夏と冬を2回ずつ経験しているのです。

地球から観測すると、KELT-9 bは主星の明るい極と暗い赤道を通過するため、トランジットの際の明るさの変化に偏りが生じます。その非対称性が恒星表面の温度や明るさの変化の手がかりとなり、星についてのさまざまなことが明らかになりました。

https://www.nasa.gov/feature/goddard/2020/nasa-s-tess-delivers-new-insights-into-an-ultrahot-world