木星探査機ジュノー、衛星エウロパの夜側を最高解像度で撮影

NASA(アメリカ航空宇宙局)の木星探査機ジュノーは2022年9月29日、木星の衛星エウロパに最接近しました。この画像はその際に撮影されたエウロパ表面で、150km×200kmの範囲が映っています。最接近時のエウロパ表面までの距離は352kmでしたが、そこまで近づいたのは2000年1月にガリレオ探査機が351kmまで接近して以来のことでした。

画像はジュノー探査機のスターカメラ(SRU、星夜の画像を撮影してジュノーの方位を知るためのカメラ)を使い、エウロパ表面から約412kmの距離で撮影されたものです。解像度は1ピクセルあたり256〜340mです。

画像には細かい溝や、盛り上がった氷の稜線が平行して長く伸びる「ダブルリッジ」などが交差しているのが見られます。地下からの噴出物によるとみられる黒いシミのようなものもあります。中央やや右下にみられる音符のような地形は南北67km、東西37kmの大きさがあります。

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「木星照」に照らされた薄暗い表面を撮影

エウロパに最も接近した前後の時間帯には、ジュノー探査機はエウロパの夜側に位置していました。先日アストロピクスで紹介したエウロパ画像は昼側をとらえたものでしたが、冒頭の画像はエウロパの夜側をとらえたものです。エウロパ表面に太陽光は当たっていませんでしたが、真っ暗だったわけではありません。

地球から見た月の表面で太陽光が当たっていない部分がうっすらと見えることがあります。これは地球で反射した太陽光が月を照らす「地球照」によって、月がかすかに明るくなっているためです。今回の撮影時にはいわば「木星照」が起きており、木星で反射した太陽光がエウロパ表面をうっすらと照らしていたのです。

ジュノー探査機のスターカメラは、もともと低照度環境向けに設計されています。そのため木星照のみの薄暗いエウロパ表面を撮影することができたのです。

Image Credit: NASA/JPL-Caltech/SwRI

(参照)JPL