この画像は、NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星探査車「パーサヴィアランス」がとらえたもので、「Castell Henllys(カステル・ヘンリーズ)」と名付けられた場所が映っています。2023年4月13日(763火星日)に、パーサヴィアランスのマストカメラ(Mastcam-Z)で撮影された3枚の画像を合成したもので、12月12日にNASAから公開されました。
Castell Henllysは、パーサヴィアランスがいた場所からは100mほど離れたところにあります。画像には、数多くの丸い岩が映っています。これらの岩は、かつて表面に水があったころの火星で発生した強い洪水によって、パーサヴィアランスが探査しているジェゼロ・クレーターまで押し流されてきたと考えられています。
こちらの画像は、Castell Henllysを火星ヘリコプター「インジェニュイティ」がとらえたものです。2023年3月21日、インジェニュイティの48回目の飛行中に、高度12mから撮影されました。
こちらの映像は、ジェゼロ・クレーターに水が流れ込むシーンを再現したものです(Credit: NASA/JPL-Caltech)。2021年2月の火星着陸以来、パーサヴィアランスはクレーターの床やデルタ(三角州)で探査を行ってきました。そして探査を通じて、クレーターの縁から水があふれて流入し始めた後に、主な3つの時期があったことがわかってきました。
まずは、水によって細かい砂と泥がもたらされた時期です。パーサヴィアランスは「Hogwallow Flats」と名付けられた場所でそのような砂などによる堆積岩を観察しました。
次に、クレーターの湖が成長して直径35km、深さ30mとなり、いくつかの堆積層を形成しました。パーサヴィアランスは、「Pinestand」と呼ばれる場所でそのような堆積層を観察しています。
最後に強い流れが岩を転がすことで、Castell Henllysで見られるような丸みを帯びた岩をもたらされたのです。