探査機が紫外線でみた火星の大気 | アストロピクス

探査機が紫外線でみた火星の大気

NASA(アメリカ航空宇宙局)は6月23日、火星探査機メイブン(MAVEN)が紫外線で火星の大気をとらえた2点の画像を公開しました。

メイブンに搭載されたIUVS(紫外線撮像分光器)は、110〜340nmの波長の紫外線を観測します。この画像は、紫外線で撮影された画像に擬似的に色付けしたものです。大気中のオゾンは紫色に、雲や霧は白や青に見え、火星表面は黄褐色や緑に見えています。

火星は自転軸が約25度傾いており、季節変化があります。こちらの画像は2022年7月、火星の南半球の夏の時期に撮影されたものです。中央やや左下に、火星で最も深いクレーターの1つであるアルギュレ盆地(淡いピンク色)が、霞で満たされているのが映っています。また左上には、雲に満たされたマリネリス峡谷が見えています。下部に見られる白い領域は南極冠です。南極冠は夏なので相対的に小さくなっています。

こちらは2023年1月に撮影された画像です。火星の北半球が映っています。マリネリス峡谷が左下に見えており、緑色の領域にはクレーターが多く見られます。マゼンタ色に見えているのはオゾンです。オゾンは北半球の冬の極夜の間に蓄積され、その後、春になると水蒸気との化学反応によって破壊されます。

Image Credit: NASA/LASP/CU Boulder

(参照)NASA