これらの画像は、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)のマーズ・エクスプレスに搭載されたVMC(Visual Monitoring Camera)によって撮影された火星です。
マーズ・エクスプレスには着陸機ビーグル2が搭載されていました。VMCは科学観測用のカメラではなく、もともと2003年のビーグル2の分離をモニタリングするためのカメラでした(ビーグル2の着陸は失敗しました)。2007年以降は火星を観測するために再利用されています。ESAのウェブサイトでは「ウェブカメラ(webcam)」とも呼ばれています。
VMCの画像はこれまでFlickrのVMCのページで公開されてきましたが、最近になって、他の観測機器のデータとともにESAのPlanetary Science Archives(惑星科学アーカイブス)で科学データが公開されるようになりました。なおFlickrでは撮影から数日以内に画像がアップされています。
VMCのデータはすでにさまざまな科学研究に使われています。アストロピクスの以前の記事「火星の巨大火山に現れる細長い謎の雲」で紹介した画像も、VMCを利用した研究の一つです。
冒頭の画像に映っているのは以下の通りです。
1行目左から
- 北極の塵・水の氷(2019年10月4日)
- アルシア山の細長い雲(2008年11月12日)
- オリンポス山のカルデラ(2019年10月19日)
- 北極の縁での二重の低気圧(2012年6月16日)
2行目左から
- 火星全球。南極冠が見えている(2016年11月17日)
- 霞みがかったマリネリス峡谷の一部(2018年11月12日)
- タルシス三山とオリンポス山(2010年6月9日)
- オリンポス山上空の雲(2019年1月9日)
3行目左から
- 北極冠に見られる氷(2020年1月1日)
- 北極冠上空の水氷の雲(2010年12月28日)
- マリネリス峡谷(2008年7月1日)
- 火星全球。タルシス三山などが見えている(2017年10月22日)
4行目左から
- 北極冠上空の局地的な砂嵐(2016年9月6日)
- 大シルチス(2020年3月9日)
- 火星の薄明の雲(2019年11月25日)
- 火星の南極のクローズアップ(2010年8月8日)
Image Credit: ESA/MEX/VMC, CC BY-SA 3.0 IGO
(参照)ESA