この画像、まるで天の川銀河の星々をとらえたもののようにもみえますが、実はそうではありません。画像に映っているのは、「バーナード銀河」とも呼ばれる不規則銀河NGC 6822の一部です。NGC 6822は、いて座の方向、約200万光年の距離にある銀河で、伴銀河(衛星銀河)以外としては天の川銀河に最も近い銀河です。
画像はウェッブ望遠鏡のNIRCam(近赤外線カメラ)で撮影されたもので、NGC 6822を構成する多くの星々が映し出されています。可視光ではガスや塵のためはっきり見えない領域が、赤外線でとらえることで星々が鮮明にとらえられています。
一部、ガスがうっすらと赤く見えている領域も映っています。赤く見えるガス雲の左下側に、青くぼんやり輝いて見えるのは球状星団です。
冒頭の画像は縮小していますが、オリジナル画像は11,230×8059ピクセルもある巨大なものです。こちらはオリジナルの解像度のまま画像の中央付近を切り抜いたもの。星々がはっきりと映っているのがよくわかります。またNGC 6822より遠方にある銀河もいくつか見えています。
ウェッブ望遠鏡のウェブページでは毎月、「Picture of the Month(今月の1枚)」の画像を公開しています。今回紹介した画像は2023年9月27日にPicture of the Monthとして掲載されたものです。アストロピクスでこれまでに紹介した、ウェッブ望遠鏡のPicture of the Monthはこちらをご覧ください。
なおNGC 6822の画像は、2023年7月のPicture of the Monthでも紹介されたことがあります。そのときはMIRI(中間赤外線装置)の画像や、NIRCamとMIRIの画像を重ね合わせたものも紹介されていました。(参考)天の川銀河の隣人、不規則銀河NGC 6822の星々と塵 ウェッブ望遠鏡が観測
NGC 6822の全体像を可視光で見た画像は「天の川銀河の隣人『バーナード銀河』」をご覧ください。
Image Credit: ESA/Webb, NASA & CSA, M. Meixner
(参照)ESA/Webb