この画像は、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が棒渦巻銀河NGC 1365をとらえたものです。ウェッブ望遠鏡のNIRCam(近赤外線カメラ)とMIRI(中間赤外線装置)で撮影されました。NGC 1365は、ろ座の方向、5600万光年の距離にあります。地球に対して銀河円盤を正面に向けた、いわゆる「フェイスオン銀河」の1つです。
NIRCamの画像は青で示されており、主に星が映っています。一方のMIRIの画像は赤っぽい色で示されており、主に塵が映っています。
ハッブル宇宙望遠鏡の撮影画像
こちらは同じNGC 1365を、ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた画像です。こちらは可視光と紫外線のデータを組み合わせたものです。冒頭の画像と比べてみると、ウェッブ望遠鏡の画像で明るくなっている部分が、ハッブル望遠鏡の画像では暗くなっているのがわかります。塵は赤外線を放射するためウェッブ望遠鏡の画像では輝いて見えますが、可視光や紫外線を吸収するためハッブル望遠鏡の画像では暗く見えています。
こちらはNGC 1365をとらえたウェッブ望遠鏡とハッブル望遠鏡の画像を交互に示した映像。
ウェッブ望遠鏡の画像には、銀河中心から放射状に伸びる光のすじが見えています。これは「回折スパイク」と呼ばれるもので、望遠鏡の構造に由来するものです。光源が非常に明るくコンパクトな場合に現れます。ウェッブ望遠鏡の画像での回折スパイクは、銀河中心で超巨大ブラックホールが明るく輝いていることで生じている可能性があります。
画像は2024年1月29日に公開された、ウェッブ望遠鏡がとらえた19のフェイスオン渦巻銀河の画像のうちの1枚です。「PHANGS(Physics at High Angular resolution in Nearby GalaxieS:近傍銀河の高解像度観測による物理学研究)」というプログラムの一環で撮影された画像。
(参考記事)ウェッブ望遠鏡がとらえた19の「フェイスオン」渦巻銀河コレクション
Image Credit: NASA, ESA, CSA, STScI, Janice Lee (STScI), Thomas Williams (Oxford), Rupali Chandar (UToledo), PHANGS Team
(参考記事)ろ座にある巨大な棒渦巻銀河NGC 1365(銀河の全体像を映した画像を掲載しています)