これらの画像はいずれも、不規則銀河NGC 6822の一部をジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡がとらえたものです。NGC 6822は、約200万光年の距離にあり、伴銀河(衛星銀河)以外で天の川銀河に最も近い銀河です。「バーナード銀河」とも呼ばれます。1枚目はウェッブ望遠鏡のNIRCam(近赤外線カメラ)、2枚目はMIRI(中間赤外線装置)で撮影したもので、3枚目はNIRCamとMIRIの画像を重ね合わせたものです。
NIRCamは星をとらえた
1枚目のNIRCamの画像には、多くの星が映し出されています。可視光ではガスや塵に邪魔されてよく見えない領域を、ウェッブ望遠鏡が近赤外線でとらえることで星々がはっきりと見えてきました。
この画像で淡い青やシアンで見えている星は最も明るい星です。淡い青やシアンは、NIRCamが検出できる最も短い波長である近赤外線に割り当てられています。より長い波長の赤外線には黄や赤色が割り当てられ、この画像では暗く見えています。左下側に青くぼんやりと広がってみえるのは球状星団です。
MIRIがとらえたのは塵
2枚目のMIRIの画像では、銀河内にある塵からの赤外線が目立っています。中間赤外線では星は暗く見えるためあまり見えていません。青色は、PAH(多環芳香族炭化水素)という有機化合物を示しています。PAHは、星や惑星の形成に重要な役割を果たします。シアンは低温の塵、オレンジは温かい塵を示しています。
赤やマゼンタは、星形成が活発な領域です。中央下に見られる赤いリングは超新星残骸です。NGC 6822よりも遠方の銀河はオレンジ色で見ています。比較的近くにある銀河の中には、緑色で見えているものがあります。
ウェッブ望遠鏡のウェブページでは毎月、「Picture of the Month(今月の1枚)」の画像を公開しています。今回紹介した画像は2023年7月31日にPicture of the Monthとして掲載されたものです。アストロピクスでこれまでに紹介した、ウェッブ望遠鏡のPicture of the Monthはこちらをご覧ください。
Image Credit: ESA/Webb, NASA & CSA, M. Meixner
(参照)ESA/Webb