ウェッブ望遠鏡がとらえた大マゼラン銀河の星形成領域「N79」 | アストロピクス

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ウェッブ望遠鏡がとらえた大マゼラン銀河の星形成領域「N79」

この画像に映っているのは、大マゼラン銀河にある「N79」と呼ばれる星形成領域です。N79は、電離した水素原子からなる「HII領域」とも呼ばれる星雲です。画像はジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡がMIRI(中間赤外線装置)で撮影しました。MIRIでとらえたこの画像には、星雲内の輝くガスと塵が映し出されています。

N79は、およそ1630光年にわたり広がっています。大マゼラン銀河にある有名なタランチュラ星雲(かじき座30)を若くしたような星雲とみられており、N79の星形成率は過去50万年間でタランチュラ星雲の2倍を上回ると示唆する研究もあります。

画像には、3つある巨大な分子雲複合体の1つである「N79 south」が映っています。最も明るく見えるところから放射状に伸びる光のすじが見えますが、これは望遠鏡の構造に由来するものです。

N79のような星形成領域は、宇宙がまだ若く星形成がピークに達していたころの星形成領域と化学的な組成が似ていることから、天文学者に関心をもたれています。天の川銀河にある星形成領域はN79ほど激しく星を形成しておらず、また化学的な組成も異なります。

画像は7.7μm、10μm、15μm、21μmで撮影した画像を青、シアン、黄、赤に割り当てて合成したものです。

ウェッブ望遠鏡のウェブページでは毎月、「Picture of the Month(今月の1枚)」の画像を公開しています。今回紹介した画像は2024年1月23日にPicture of the Monthとして掲載されたものです。

Image Credit: ESA/Webb, NASA & CSA, O. Nayak, M. Meixner

(参照)ESA/Webb