多波長で見たアンドロメダ銀河の新画像 ベラ・ルービンに敬意を表しNASAが公開

この画像には、私たちが住む天の川銀河に最も近い大型の渦巻銀河であるアンドロメダ銀河(M31)が映っています。アンドロメダ銀河は地球から約250万光年の距離にあります。

この画像は、さまざまな波長でとらえられたアンドロメダ銀河のデータを合成したものです。チャンドラX線望遠鏡とXMM-NewtonからのX線データ(赤、緑、青)、GALEX衛星からの紫外線データ(青)、天体写真家が地上から望遠鏡を使って撮影した可視光のデータ、スピッツァー宇宙望遠鏡、COBE衛星、Planck衛星、ハーシェル宇宙望遠鏡による赤外線データ(赤、オレンジ、紫)、ウェスターボルク開口合成電波望遠鏡による電波データ(赤-オレンジ)が合成されています。

さまざまな波長で見ることで、銀河のさまざまな側面が見えてきます。例えばチャンドラ望遠鏡のX線は、アンドロメダ銀河の中心にある超巨大ブラックホールの周辺から出る高エネルギー放射線とともに、銀河全体に散在する多くの小さな高密度天体も明らかにします。

こちらの動画では、冒頭の合成画像を構成する各波長で撮影されたアンドロメダ銀河の画像を順に表示しています。

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天文学者ベラ・ルービンに敬意を表して公開された

NASA(アメリカ航空宇宙局)によると、このアンドロメダ銀河の画像は、アメリカの天文学者ベラ・ルービンに敬意を表して公開されました。ルービンらは1970年代から80年代にかけて、アンドロメダ銀河などを観測・研究し、見えない物質が銀河の回転速度に影響を与えていることを明らかにしました。当時「ミッシングマス(行方不明の質量)」と呼ばれていたこの見えない未知の物質は、のちに「ダークマター(暗黒物質)」と呼ばれるようになります。ダークマターの正体は、現在もわかっていません。

なおアメリカでは2025年6月に、「American Women Quarters Program(アメリカ人女性25セント硬貨プログラム)」の一環で、ベラ・ルービンの肖像を描いた25セント硬貨が発行されました。

ちなみに6月23日には、南米チリに建設されたベラ・C・ルービン天文台の試験観測で得られた画像が初公開されています。

Image Credit: X-ray: NASA/CXO/UMass/Z. Li & Q.D. Wang, ESA/XMM-Newton; Infrared: NASA/JPL-Caltech/WISE, Spitzer, NASA/JPL-Caltech/K. Gordon (U. Az), ESA/Herschel, ESA/Planck, NASA/IRAS, NASA/CO; Radio: NSF/GBT/WSRT/IRAM/C. Clark (STScI); Ultraviolet: NASA/JPL-Caltech/GALEX; Optical: Andromeda, Unexpected © Marcel Drechsler, Xavier Strottner, Yann Sainty & J. Sahner, T. Kottary. Composite image processing: L. Frattare, K. Arcand, J.Major

(参照)NASAUnited States Mint(アメリカ合衆国造幣局)